2026年1月2日金曜日

ベストカー:中国BYDが水平対向エンジンを今なぜ開発??? 伝統のスバルやポルシェとどこが違うのか?

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 BYDが発表したのは、BYD傘下の高級車ブランド「仰望(ヤンワン)」の新型セダン「U7」に採用する2L直噴ターボ水平対向エンジンを搭載したハイブリッド車向けエンジン。

 BYDの水平対向エンジンは、純粋な走行性能追求型ではなく、効率性とハイブリッドシステムとの親和性に重きを置いています。









BYDのエンジンの驚異的な熱効率:46.06%: 第5世代DMシステムで発表されたPHEV専用エンジンの最高熱効率値。

「DM-i」技術の核心:
 ハイブリッド専用設計: 発進・低速域はモーターが主役、高速巡航などエンジンが最も効率  の良い領域(約20%)のみを担当させる「倹約家エンジン」。
 高圧縮比: エンジンの熱効率を極限まで高めるための高圧縮比化(例: 15.5)。
システム全体での効率化:
 高効率PHEVエンジン: 専用設計と最適制御でエネルギー変換効率を向上。
EHS(Electric Hybrid System): 70.28%の出力密度向上と92%の運転効率を実現。
 ブレードバッテリー: エネルギー密度が15.9%向上した専用バッテリー。
 高度な熱管理: あらゆる気候でエネルギー消費を抑えるシステム。

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 これって、実現されたエンジンなのかな?。
 高圧縮比化(例: 15.5)ってあるけど、中国国内の粗悪ガソリンだと大丈夫なのか、余計な心配をしてしまいます。 
 ちなみに、日本のガソリンエンジンの最高圧縮比は、マツダの「SKYACTIV-X」が実現した16.3(ハイオク仕様、SPCCI技術)です。
 他には、ホンダ系PHEVに搭載されるエンジンの15.5(ハイブリッド向け)が最高レベルで、これらは世界最高水準です。

 個人的に疑問に思うのは、熱効率重視なのに何故水平対向エンジンなのか?。
 熱効率について常識的に考えると、水平対向エンジンは最悪の選択でしょう。
 まず、ロングストローク化が困難無為に、ビッグボアタイプのエンジンに成りやすい。
 燃焼室やピストン頭部の表面積が大きくなり、それが爆発エネルギーを熱として吸収し、冷却水に逃がしてしまうために、熱効率の改善は難しい。

 シリンダーやシリンダーヘッドが、通常の並列エンジンに対して倍の数が必要である為、同じく熱損失や機会損失が大きく、どれほど技術が進もうと、並列式に比較して効率的なエンジンにはならない。
 ウオータージャケットも左右に独立させねばならず、カムシャフトやカムチェーンも倍の数が必要になります。

 例えば日本のエンジンでは、摩擦に依る損失を減らすためにカムシャフトとロッカーアームの接触部にローラーベアリングを使う等で、機会損失を減らしいています。
 また、ピストンリングの張力も燃費に大きく影響するという微妙なものなのです。
 それらは、一般的なイメージでは僅かな機械損失に思えますが、実は大きいく、日本メーカーは、地道に改善を行い、今の高効率エンジンを作り上げているのです。

 水平対向エンジンは、当然ながらアルミブロックや其の中の冷却水等の容量も多く、其の為に暖機時の燃料消費が大きくなります。
 走行時にも、全体的に無駄にエンジンの熱エネルギーを奪う構造なので、絶対にBYDの言う熱効率優先エンジンではないでしょう。
 水平対向エンジンのメリットは、エンジン長を短く出来ることや、上手な設計では重心が低くなり、ブロック剛性を高く出来る事だと思っています。
 今回発表されたエンジンは、「BYDのエンジン技術を高そうに見せる為だけ」としか思えません。

 エンジンの熱効率を上げるには、燃料を少なくして安定して燃焼させる技術(リーンバーン燃焼)や高速燃焼、超高圧縮比等の技術がどんどん開発されています。
 本当の意味での、熱効率50%超えは間近でしょう。





 既にある技術では、エンジン内部の回転部品(クランクシャフト、タイミングチェーン、カムシャフト、タペットベアリング)の小型化や摺動抵抗の低減も進んでいます。

 暖機時間の燃料消費を抑えるために、シリンダーヘッド部の冷却水の流れを一時遮断して、エンジンヘッドが温まるのを早めたりしています。

 エンジンをフルカバーで覆って、エンジンを停止してもエンジンそのものの温度が下がらないようにして、暖気時間の短縮する事も考えられています。
当然、走行時にエンジンの熱コントロールが可能になるメリットもあります。

 細かい改善ですが、一般的なレシプロエンジンに使われるACジェネレータ(発電機)は、減速時に多くの電力を発電するようにコントロールされていたりもします。
 加速時には回路を断つことで、エンジン負荷を下げたりもするようです。

 日本車は、代表的な高効率エンジンの技術の他に、小さな改善方法まで総合的に考えて造られています。
 だから日本車は燃費が良いのですね。

 私は個人的にガソリン・エンジンが大好きなのです。
 インラインだろうと、水平対向型だろうと、V形だろうと大好き。
 でも、EVを否定するつもりも有りません。
 ガソリンエンジンは、まだまだ技術革新が進み、効率が良くなる可能性があります。
 このような移動モビリティは、インフラや生産、廃棄サイクルも含めて考える必要があります。
 欧州のように、温暖化防止という目的を蔑ろにして、EVだけに全振りするのではなく、全ての技術を否定しない事が結果的に技術を進め、本当の意味での温暖化防止につながるのだろうと思います。

 日本のホンダも今の三部社長になった当初、EV全振りなんて危険な事を言っていましたが、彼はこれまでホンダが蓄積してきたエンジン技術に助けられて社長業を続けられている様に思えます。
 エンジン効率競争に再参戦し、新しい技術をどんどんと開発して欲しいと思います。

2 件のコメント:

  1. ひでじ
    今年もよろしくお願いいたします
    流石!水平対向エンジンのメリット、デメリットを分かりやすく解説してあって納得しました。BYDはアピール内容を間違えている事に、水平対向エンジンを選択した理由と利用方法に差異があることを気づいていないのかも知れませんね。

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    1. せんべいさん2026年1月2日 19:43

      こんにちは、ひでじさん。
      ワタシ的には水平対向エンジンも大好きです。
      ホンダの2輪車にも、水平対向型6気筒エンジンを搭載した機種もありますね。
      振動が少なくウルトラスムーズらしいです。
      また、BRZも大好きです。
      車体も低くてエンジン重心も非常に低いので、コーナリングが異次元レベルで楽しいだろうと思っていたりもします。
      (私は低い車が大好き、2代目のプレリュードに乗っていました)
      やはり、目的に真っ直ぐなエンジンを持つ車が大好きなのです。

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