今のオーディオシステムに関しては、完成直後から「ピアノの曲」に魅力が無いと感じていました。
高域はそれなりのなのですが、特に低域に重厚感や迫力がないのです。
ピアノが発するオーディオ周波数帯域はとても広く、最低音の「ラ」が約27Hz、最高音の「ド」は約4186Hzにもなります。
低音域(20Hz〜200Hz)は音の重厚さ。
高音域(200Hz〜2kHz)は音の明瞭。
高音域(2kHz以上)は音の輝きと透明感。
我が家のオーディオの測定結果では、「★部屋の音響特性が影響して、50~70Hzと、200~300Hzに大きな谷ができている」事が判明しました。
私の欲しい音を得るには、この帯域の暴れを改善する事が肝要と考えています。
ネットで「フラッターエコー」について検索していたら、面白ホームページを見つけました。
そこでは、6畳間の定在波について語られていました。
広い空間の確保や吸音パネルの設置が不可能であれば、定在波による音圧上昇が沢山重なる後ろの壁際にリスニングポイントを移動するのも有効な手段。
定在波の低音は壁振動などとは異なり、楽器そのものの持続音なので、低音が豊かになって音楽の包容力を増すことが多い。
つまり狭い部屋なら横使いが有利。
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我が家のシステムで問題と考えている「主に低域の音量の谷がある周波数帯」は、このHPの例にある「縦方向1/2波長、縦方向2波長」にまさに相当しています。
そこで、横置きレイアウトにした場合を勝手に想像してみました。
横置きレイアウトの場合、全ての波長でリスニングポジションの周波数帯域に色の薄い場所がありません。
問題と成る周波数帯の全てが、豊かな音量で聴けるということです。
結論としては、この部屋の有効な改善方法の1つは、「横置きレイアウトに変更」すると言う事です。
しかし個人的見解ですが、私の大型のスピーカーを鳴らすには、距離が近すぎる気がします。
良く考えてみると、縦置きのままで低域の減衰が無い場所、すなわち最もスピーカーに遠い壁際にリスニングポジションを持ってくれば、横置きと同等の効果が得られる可能性も有る?と考えました。
早速リスニングポジションをスピーカーと反対側の壁ピタ位置に想定し、周波数特性を測定してみました。
結果をみると・・・
① 65Hzを中心とした、約45Hz~75Hz間の大きな谷が解消されている。
② 約180Hz~320Hzの小さな谷も改善されている。
③ 約50Hzを中心に35Hz~65Hzが大きく盛り上がっている。
④ ウーハー領域のレベルが上昇したので、もう少しミッドレンジとツイーターのレベルを上げれば、超高域までフラットレスポンスなスピーカーシステムが完成?する。
⑤ 現在のバスレフダクトの共振周波数は、約50Hzくらいなので、もう少しダクトの長さを延長(現在は40mm)し、35Hzくらいに調整すれば、抜群にワイドレンジなスピーカーシステムの出来あがり?。
この低周波数域の盛り上がりは、低音が大好きな私には嬉しい誤算。
まるで、大型のバックロードホーンの様な雄大な低音を聴くことが出来るようになりました。
それでいてバックロードホーン様な粗さは全く無く、迫力と重厚さが有りながら、美しく伸びやかな中高域も聴けるスピーカーになった様です。
もし低音がブーミーに感じる様なら、部屋の各コーナーに吸音材を設置して回り込んでくる低音を吸収させれば、ある程度は調整可能と思われます。
また、リスニングポジションを少し壁から離すだけで、低音の量は変化するでしょう。
横置きレイアウトにも、使い勝手では良い点があります。
まず、オーディオを設置するスペースが横に広がるので、スピーカーを2セットくらい設置できます。
私の場合、3wayスピーカーはチャンデバとアンプが紐ついているので、他のスピーカーシステムを鳴らす場合は、別のDACやパワーアンプが必要となります。
★最後に
今回の測定を通じて、どんなに高性能で歪が少なく、周波数バランスが整った高額なスピーカーを手に入れても、聞く環境がそれに伴わないと、宝の持ち腐れで有ることを実感しました。
スピーカーの周波数特性だけですが、自分で測定できる環境が整った事で、ある程度ですが「正しいリスニング環境を構築できる」事がわかりました。
私のリスニングルームに測定装置持参でおいでくださり、測定の楽しさと大切さを教えてくれた「ひでじの手作りオーディオ」さんには、本当に感謝です。
これからも、リスニング環境の改善により、「自分にとっての究極のオーディオ」に取り組んでいこうと思っています。